少し待つだけで、人間関係はもっと楽になる|すぐに解決しないという選択
人間関係で何か気になることがあると、すぐに解決したくなることがあります。
部下の表情が暗ければ、「何かあった?」と聞きたくなる。
子どもが困っていれば、「こうしたら?」と教えたくなる。
友人からいつもより素っ気ないLINEが来れば、「怒っているのかな」と気になる。
私自身、仕事や子育てを経験する中で、こうした場面に何度も出会ってきました。
そして最近は、「今すぐ動く必要があるのか」を一度考えるようにしています。
30分待つ。
一晩置いてみる。
それだけで、相手が自分で答えを見つけたり、自分の気持ちが落ち着いたりして、状況が変わることは意外と多いからです。
トラブルが起きても、すぐに答えを求めなくていい
仕事でメンバーがトラブルを起こしたとします。
上司としては、
「どうしてこうなったの?」
「これからどうする?」
と、すぐに確認したくなります。
でも、その瞬間の本人は冷静とは限りません。
失敗した焦りや恥ずかしさ、周囲への申し訳なさ。
いろいろな感情を抱えながら、何が起きたのかを本人自身も整理している途中かもしれません。
そこで上司が質問を重ねると、本人に考えさせているつもりでも、
「こう対応したほうがいいんじゃない?」
と、いつの間にか上司の考える正解へ誘導してしまうことがあります。
そんなとき、私はこう考えるようになりました。
「30分待つことで、どれだけの負債が生まれるだろう?」
もちろん、お客様への影響が広がるクレームなど、すぐに対応すべきことはあります。
でも、30分経っても状況が大きく変わらないのであれば、本人が整理する時間にしてもいい。
実際、こちらから答えを求めなくても、しばらくすると、
「相談してもいいですか。私はこうしようと思っています」
と、自分なりの考えを持って相談に来ることがあります。
その経験が、次に同じことが起きたときに自分で判断する力につながっていくのだと思います。
相手の表情を見て、こちらまで不安にならない
メンバーが不安そうな顔をしていると、上司も気になります。
以前の私は、そんな様子を見るとすぐに声をかけたくなっていました。
でも経験を重ねる中で、
「私は相手のために聞こうとしているのか。それとも、自分が安心したいだけなのか」
と考えるようになりました。
少し様子を見ていると、自分で解決していつもの状態に戻ることもあります。
本当に助けが必要なら、本人から相談に来ることもあります。
上司が一緒になって慌てるより、
「必要なときには相談できる。でも、基本的には自分を信じて任せてもらえる」
と思ってもらえるほうが、安心して仕事ができるのではないかと思っています。
子どもが困っているときも、すぐに答えを教えない
子育てでも似たようなことがあります。
子どもが何かにつまずいていると、大人には解決方法が見えていることがあります。
だから、つい先に教えたくなります。
でも、そこで少し口を出すのを我慢してみる。
すると、違う方法を試したり、こちらが思いつかなかったやり方を考えたりすることがあります。
それでもできなければ、そのとき一緒に考えればいい。
最初から答えを渡さないことで、子どもが自分で考える機会を残すことができます。
助けることだけではなく、任せてみることも相手への信頼なのだと思います。
「怒っている?」と聞く前に、一晩置いてみる
夫婦や友人との関係では、相手のちょっとした変化が気になることがあります。
LINEの返信が短い。
いつもより口数が少ない。
返事がなかなか来ない。
そんなとき、「怒っているのかな」と考え始めると、どんどん気になってきます。
でも、翌日になれば普通に話していることもあります。
仕事で疲れていただけかもしれません。
別のことを考えていただけかもしれません。
そもそも、こちらが気にしていたことに相手は何も感じていなかったかもしれません。
自分が感じた不安と、相手が実際に考えていることは別です。
そう考えるようになってから、相手のちょっとした変化に、すぐ答えを求めなくてもいいと思えるようになりました。
感情が大きく動いているときは、少し距離を取る
もう一つ、時間を置いたほうがいいと思うのが、どちらかが感情的になっているときです。
自分が腹を立てているときは、その瞬間には「絶対に伝えたほうがいい」と思っていても、少し時間が経つと考えが変わることがあります。
反対に、相手が明らかにイライラしているときも、その場で解決しようとすると、かえって話がこじれることがあります。
私自身、感情的になっている人に声をかけた結果、こちらまで強い言葉を向けられた経験があります。
そんな経験から、感情が大きく動いているときは、その場で解決しようとしなくてもいいと思うようになりました。
LINEを書いても、すぐ送らない。
話したいことがあっても、明日にする。
相手が感情的なら、落ち着くまで距離を取る。
少し時間が経つだけで、「そこまで怒ることでもなかったな」と思えることがあります。
お互いが冷静になってから話したほうが、同じ内容でも伝わり方は変わります。
「今すぐ解決しなくてもいい」と考える
以前の私は、気になることがあると早く解決したいと思うことが多かったように思います。
でも、経験を重ねるうちに、人間関係には時間に任せたほうがうまくいくこともあると感じるようになりました。
部下に考える時間があれば、自分なりの答えを持ってくるかもしれない。
子どもに任せれば、自分でできることが増えるかもしれない。
友人や夫婦のちょっとした違和感も、翌日にはなくなっているかもしれない。
だから、何か気になったときは一度だけ考えてみます。
「これは、本当に今すぐ解決しなければいけないことだろうか」
今すぐでなくてもいいなら、少しだけ待ってみる。
待つことは、何もしないことではありません。
相手が自分で考えるための時間を残すこと。
そして、自分自身も一時の感情だけで動かないための時間を持つことです。
すぐに答えを出さないことで、相手の意外な考えが見えることもあります。
自分で解決できる相手の姿を見て、以前より信頼できるようになることもあります。
少し待つだけで、相手との関係も、自分の気持ちも、少し楽になることがあるのだと思います。
